特集
華やかなイルミネーションにケーキやプレゼント、そしてオーナメントやリースを手づくり。モノづくり大好きさんにとって、クリスマスは「今年は何をつくろうかな」とワクワクするイベントではないでしょうか。
今年は、レトロモダンなテイストが人気の「こぎん刺し」を取り入れて、親子で手づくりを楽しむクリスマスを過ごしてみませんか?
こぎん刺しは、布の織り目を数えながら並縫いのように針を進めていくと、模様ができあがる刺繍です。
一見難しそうですが、ポイントをおさえれば、針仕事に慣れていないお子さんでも挑戦できます。
今回は、こぎん刺し作家・講師のMaple Buckets -メイプル バケツ-/近藤静香さんに、親子向けにクリスマスオーナメントのつくり方を教えていただきました。つくり方のコツ、楽しみ方の【親子でポイント】もありますので、お見逃しなく!
今回つくるオーナメントと相性のよい、かわいらしい「松ぼっくりのツリー」のつくり方も紹介します。こちらも親子で、楽しみながらつくってみてくださいね。
みなさんは、「こぎん刺し」をご存知ですか?
こぎん刺しは、青森県津軽地方に江戸時代から伝わる、「刺し子(日本の伝統的な刺しゅう)」の技法の一つで、藍染の麻布に白い木綿糸で幾何学模様が施されたものが一般的です。
目が粗い麻布の着物の保温性を高め、補強の知恵として生まれた刺繍ですが、現在ではそのトラディショナルなデザインが北欧雑貨やファブリックと相性がよいことから、インテリアや小物として取り入れられて、密かなブームとなっています。
こぎん刺しは、伝統的な基礎模様(津軽弁で「もどこ」と呼ばれています)を組み合わせて、模様をつくっていきます。
複雑な模様は初心者には難しい印象ですが、模様を組み合わせず一つの「もどこ」でもかわいらしい作品をつくることができます。
今回は、こぎん刺しが初めてのママと針を持つのも初めての小学3年生の女の子に、こぎん刺しに挑戦してもらいました。
親子でつくるときのポイントを含めて、作り方を紹介します。
<準備するもの>
・刺繍用の布 10cm × 10cm
布目が数えやすい平織りの布を準備します。
刺繍専用の布「コングレス」は布目が大きく初心者向き。
布の色も明るい色(白っぽいもの)が、布目が数えやすく取り組みやすいです。
・刺繍糸 80㎝程度
こぎん刺し用の刺繍糸、または他の刺繍糸。お好みのもので大丈夫です。
今回は8本どりの越前屋 マタルボンを使用。
・こぎん刺し用の針
【親子でポイント】こぎん刺し用の針は、先が丸まっているので、針を持つのが初めてのお子さんでも安心です!
<下準備>
① 図案を選ぶ
図案の赤丸の数字は、布の 「何目×何目」を使って全体を刺していくのかを示しています。
【親子でポイント】数字が大きいほど模様が大きくなるので、初心者さん・お子さんは数字の少ないものがお勧めです。
今回は一番目数の少ない“結び花”(画像 左上)を刺すことにしました。
② 布の中心を決める
こぎん刺しは、布の中心から刺し始めます。
中心を決めるために、まず布の縦横を確かめます。布を引っ張って、よく伸びる方が横です。
縦横が決まったら、布を横半分に折ります。
折るときは、横糸が一直線になるように折ります(写真の黄色い直線(横糸)で一直線に折る)。
さらに縦半分に折って、中心にぎゅっと折り目をつけて中心位置を決めます。
【親子でポイント】中心位置が折り目だけではわかりづらい場合は、水などで消えるチャコペンで印をつけておくとわかりやすいです。
<刺し方の大まかな流れ>
① 中心(赤い点)から左側に一段刺します。(緑色のライン)
② 中心から黄色のラインの方向に刺していき、模様の上半分を刺します。
③ 模様の下半分を刺します。(紫色のライン)
<詳しい刺し方>
① 準備で決めた中心位置から刺し始めます。
図案は、方眼の線をそれぞれ縦糸(黄色のライン)と横糸(緑色のライン)と見立ててみていきます。1目(ひとめ)は縦糸1本分です。
中心位置は赤で印をつけた位置になります。
針に糸を通すコツは、こちら(リンクhttp://hobbystyles.jp/hobistalife/こぎん刺しワークショップレポート/)をご覧ください。
結び花は中心を3目刺してスタートするので、次の写真のようになります。
【親子でポイント】刺していくうちに、糸のより(ねじれ)が強くなるので、一段刺すごとによりを戻すと仕上がりが綺きれいです。
② 中心を刺し終わったところで、左右の糸の長さを揃えます。
③ 糸端は玉結びにせず、右から左へ一段目を刺します。
④ 左側半分が刺し終わったら、糸から針を抜いて、反対側の糸の端に針を通し、右側半分も同様に刺します。
【親子でポイント】一段目が一番難しい段になるため、小さなお子さんと一緒につくる場合は、ママが一段目を刺してからお子さんにバトンタッチしてあげるといいですね。
⑤ 上半分を刺していきます。一段上に上がるときに、裏側で少しゆるみを持たせるときれいに仕上がります。
⑥ 上半分が刺し終わったら、糸処理をします。
<<処理方法1>>
布の裏側で、表に糸が渡っている部分を2目ほどすくい、糸の根元を切ります。
糸の根元を切ります。
平らな仕上がりの作品にお勧めの処理方法です。
(今回のオーナメントや額装など)
<<処理方法2>>
裏側に出ている刺繍糸2目くらいに糸を通し、糸の根元を切ります
処理方法1より厚みが出ます。
処理方法1より簡単なので、お子さんが自分で処理する場合はこちらの方法もお勧めです。
⑦ 下半分も⑤・⑥と同様に刺して糸処理をします。
⑧ アイロンを裏側→表側の順にかけて糸を落ち着かせて完成です。
完成したこぎん刺しの模様をワンポイントにして、クリスマスツリーなどに飾るオーナメントをつくりましょう。
<準備するもの>
・刺繍した布
・フェルト(10㎝×10㎝以上)
・接着芯(10㎝×10㎝以上)
・リボン(10㎝以上)
・木工用ボンド
・両面テープ(布用など粘着力が強いもの。今回は車両用の両面テープを使用しています)
・ポンポンなど(飾り)
<作り方>
① 刺繍した布の裏側に、接着芯をアイロンで貼ります。
刺繍布の目が荒くほつれやすいため、ほつれ止めとして接着芯を貼ります。
② 刺繍布の表側に、オーナメントにしたい形を水などで消えるチャコペンで描きます。
③ ② で描いた線の5㎜くらい外側を切ります。
④ ③ をフェルトの上に置いて、同じ大きさに切ります。
⑤ ④のフェルトに木工用ボンドを塗り、上に刺繍布をのせて貼り合わせます。
⑥ アイロンの熱が冷めたら、②で描いた線の通りに布を切ります。
線の少し内側をカットできると、チャコペンの線を消す手間が省けます。
線が残ってしまった場合は、チャコペンの説明に従って消してください。
⑦ フェルトの面に両面テープを貼り、その上にリボンを貼ります。
⑧ ⑦ の両面テープが隠れるように、小さく切ったフェルトを貼ります。
(貼るときは両面テープでも、木工用ボンドでもやりやすい方で構いません)
⑨ 刺繍のある面に、お好みで飾りをつけます。
⑩ 完成です。
こぎん刺し初体験のママも、針仕事が初めての娘さんもとても楽しんで制作できましたよ。
次のページでは、こぎん刺しのオーナメントと一緒に飾りたい、小さなツリーの作り方をご紹介します。
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