特集
今年も魅力ある出展者が多く集まった日本ホビーショー。出展した商品・作品に込められた思いに迫ります。
マルト長谷川工作所は、刃物の産地として有名な新潟県三条市の会社。一般には男性の手に合わせて作られているペンチですが、女性の手で扱いやすい小ぶりなサイズで、女性でも素材をしっかりつかめるクラフト用ペンチを製作しています。
社長の長谷川直哉さんは「上質な工具を使えば、繊細な仕事ができるため、必然的に作品の質も上がっていきます。うちの製品が、皆さんの作品をより上質なものに押し上げるサポートになれば」と話してくれました。
制作のための工具と、作品の仕上がりは、車の両輪のように切っても切り離せない存在。工具の質を再検討することで、クラフトの時間をより楽しく、作品をより上質にできることでしょう。
「手編みサロンあみ~ちぇ」では、手指の力や動きに困難がある方でも扱いやすいかぎ針「Amiche・あみ~ちぇ」の開発をしています。通常は三本の指で持つかぎ針を、ゴムバンドで固定し、手の平で握って編めるようにしてあるので、指先の力がなくても大丈夫。
これを開発した代表の平田のぶ子さんは「年齢を重ねても、どんな体になろうとも、『ものを作り上げる』という素晴らしい時間を楽しんで欲しい」という思いを込めたとのこと。
心のこもった作品は、心のこもった道具から。「やさしさ」という発想で、ハンドメイドをみてみることで、新しいクラフトのあり方や方向性が発見できるかもしれません。
革・ワイヤ・粘土などを使って作る盆栽を「革盆栽」といいます。革盆栽を製作しつづけて40年以上になる永田順子さんは、「上質さを追求することに終わりはありません」と語る一方、そうして培われた技術を次へつなげていくことも大事だと言います。
「日本ホビーショーは若い世代との出会いの場。ここでつながった縁を大切にして、革盆栽の魅力を多くの人に知ってもらえたらと思います」と話してくださいました。
台湾産の原料で作った「紙」の「糸」を製作しているのは、台湾からの出展者「Long-Chung Enterprise」。紙とはいえ丈夫にできていて耐水性もあります。
毎年出展している大きな理由は、「お客さまの生の声を聞ける」から。「ヨーロッパのハンドメイドイベントはビジネスマンだけしか参加できません。でも、日本ホビーショーはエンドユーザーの方々もいらっしゃるので、貴重なアドバイスをたくさんいただけます」と広報宣伝課のウー・リエェンさんは語ります。直接いただいた意見を活かして、日本人が好むように糸の色や編み方を開発するのだとか。
エンドユーザーと直にふれあい話すことで、企業だけの意見では得られない発想や視点を得る場としても、ホビーショーは活用されているのですね。
日本ホビーショーを主催する(一社)日本ホビー協会でも、新しい取り組みに挑戦。コスプレ×ホビーのコラボレーションの世界を知ってもらいたいと、「Handmade meetsコスプレ」ブースを初企画しました。アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」に登場した戦闘服など、さまざまなアニメキャラの衣装を精巧に再現。モデルのアニメを知らないであろう幅広い年齢層の方からも「すごい!これが手作り?」と高評価。新鮮な驚きと感動を与えていました。
普段は縁遠く思いがちな世界と、身近なハンドメイドの世界は、実は「つながっている」のかも。こんなふうに世界が広がり、つながっていくのも、多くの出展者が集まるホビーショーならではの楽しみかもしれません。
日本ホビーショーでは、作り手のユニークなアイディアを高く評価しています。今年も「世界に一つだけ」の作品が揃い、アイディアや技術を競いました。
グランプリは「子ども工作会」の手作りロボット。グランプリ以外の作品も、製作や着想に学ぶところの多い、魅力的な作品が多くありました。
使いやすい道具、最新の技術、そしてユニークな作家の作品……ハンドメイドに関するあらゆる情報が集まる日本ホビーショー。その中に、あなたの作品をより“上質”にする発見があるはず。今から、来年の開催が待ち遠しくなりますね。第42回2018日本ホビーショーは、2018年4月下旬の3日間、東京ビックサイトで開催の予定です!
カテゴリー:
その他の特集記事