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パッチワークと聞いて、どんなイメージをお持ちですか。「高い技術が必要そう」「工程が多くて難しそう」と、遠ざけてしまっていませんか。そんな方に朗報です! Patch-Work-Life(パッチワークライフ)さんは、新しいカタチで、パッチワークをもっと身近で、手軽にできる提案をしている団体。パッチワーク教室の運営やイベントなどを通じて、パッチワークの魅力を発信し続けています。パッチワークライフ代表の丸井康司さんにお話をうかがいました。
――パッチワークライフさんは、どのような団体なのでしょうか。
丸井さん: 「パッチワーク」と聞いて、日本人の多くの方がイメージするのは、手の込んだアートのような作品などではないでしょうか。そうしたハードルの高さが、初心者の方にとって「やってみようかな」という気持ちをとどめる原因になってしまっているのだと思います。
私たちは、パッチワークをもっとシンプルに、そしてインテリアのようなパッチワークの方法を発信することで、ハンドメイドをやったことがない方にもパッチワークの楽しさや魅力を知ってもらいたいと考えています。教室の講師やさまざまな分野のデザイナーなどの各担当を含む7名で運営し、パッチワーク教室やイベントなどを開催しています。
――確かに、パッチワーク作品の展覧会に行くと、芸術作品のような緻密にデザインされた大作がたくさん並んでいて、「すごいなぁ」と思う反面、「私には絶対無理!」と思ってしまいます…教室は、どのような内容なのですか。
丸井さん: 「デザイン」を重視したカリキュラムを実施しています。「デザインなんて、やったことないよ」という方も心配ご無用。皆さんは、服やインテリアなどで、色や形を組み合わせることは、日常の中で実践されていると思いますし、その時間って、きっと楽しいものではないでしょうか。パッチワークのデザインも、その延長にあると考えていて、色や形の組み合わせから、楽しく学べるようにカリキュラムを組んでいます。実際に色の組合せを考えるパズルを用いたり、様々な色彩の布を使って手を動かしながら配色などを考えるので、パッチワークに必要なデザイン力が自然と身に着くと思いますよ。
丸井さん: 座学だけではなく、外に出て、街の中でデザインを見つける課外レッスンもあります。
例えば、有名な建築家、フランク・ロイド・ライトが設計した建築を見に行き、建物の中に使われている形(パターン)を探してもらう、といった内容です。形を組み合わせることでもデザインが出来上がると知ってもらうことで、パッチワークが日常のデザインの延長上にあることを実感してほしい。そして、それをご自身のパッチワークに取り入れてもらえたらと思っています。
また、例えば「東京タワー」をモチーフにしたいと考えたとき、遠くから眺めた東京タワーもあれば、真上から俯瞰した場合、タワーの内側からの見方もあるわけです。そんな目線を変える方法についてもお話ししています。
パッチワークは、細かい作業が多いですが、それをできるだけ簡単にする視点もレクチャーさせて頂いています。曲線の形状も、直線的にデフォルメすることで作業も単純化できますよね。
――デザインから学べて、しかも課外授業もある教室なんて、楽しそうですね! こうしたレッスンを受けた上で、パッチワークの技術を学べるんですね。
丸井さん: ご自身で配色などのデザインを考え、それをパッチワークで製作する。製図から裁断。運針やパッチワークの技術を、基礎の基礎から学んで頂きます。
パッチワークは縫うことがメインですが、縫物をほとんどしたことがない方でも大丈夫です。玉止めや針の運びなど、小学生の家庭科の授業でやるような、初歩の初歩からスタートします。
――このように、デザインから教えられるカリキュラムを組めるのは、なぜなのですか。
丸井さん: 私はインテリアデザインの仕事を本業としており、アパレルショップや飲食店などの什器のプロダクトデザインや設計を行っています。かつて、仕事で家具やカーテンなどのインテリア商品の廃材が大量に廃棄されていくのを歯がゆく感じていました。端切れやちょっとした欠片も、組み合わせていくことで何かできるのではないか。そう考え、「継ぎ合わせる」という意味を持つ「パッチワーク」という言葉を用いた「patch-work」(パッチワーク)という手芸ユニットを、当時の同僚だった村上史博さんと立ち上げました。
現在、欧米などで流行っているパッチワークはとてもシンプルになってきています。単色の布などシンプルな生地を使うことがパッチワークのトレンドになってきているのです。生地そのものがシンプルな上に、組み合わせる形も幾何学模様のような直線的なものが多く、インテリアやファッションにもとてもなじみやすいものです。
一方、日本のパッチワークはアーティスティックな作品が多い分、気軽に始める、ということが難しいようで、若い方が参入しづらい分野になってしまっている現状があることを知りました。海外のインテリア展示会で壁紙や床材などで見かける、シンプルなものもパッチワークなんだ、ということを発信していくことで、すそ野を広げられるのではないかと考えたのです。自分たちが持っているデザインの知識や技術を生かしてパッチワーク教室を運営し、より生活に根差したパッチワークを発信していこうと結成したのが、「パッチワークライフ」です。
私はデザインについての知識はあるものの、パッチワークを「作る」技術や、教えることについては長けてはいません。そこで、教室の講師には、パッチワークの講師としてご経歴のある先生に参加してもらい、私のデザインの知識を落とし込んだパッチワークのカリキュラムを作るなど、役割分担した運営をしています。
――現在、生徒さんの数は40名とうかがいました。新しいパッチワークスタイルのため、運営が軌道に乗るまでは困難なことも多かったのでは?
丸井さん: 私はインテリアデザイナーとして仕事をする中で、「デザインには社会の課題を解決する力がある」と感じてきました。また、パッチワークを一緒に作ること通じて、コミュニケーションも生まれる。それを実現する場として教室を運営したいと思い、パッチワークの技術を持つご高齢の方々に講師をしてもらう教室を開催してきました。高齢者の方の仕事にもなり、高齢者支援、社会貢献にもつながると考えたからです。
しかし、実際に開催してみると、「高齢者の仕事を創出する」という部分だけが独り歩きしてしまって、興味本位では様々な方に参加して頂けたのですが、継続して教室に通って頂ける方はなかなかいませんでした。本来の目的としていた、高齢者の方が若い方やハンドメイドをしたことのない方たちにもパッチワークの楽しさを伝え、そのコミュニティが世代間交流や高齢者の生きがいを作るということはなかなか定着できませんでした。
そんな経験を踏まえて、教室のプログラムを変えてみたり、リブランディングする中で、現在では生徒さんも徐々に増えてきています。作ってみたい、ということがきっかけというよりは、「こういうものがほしい」「使ってみたい」「私にもできそう」といった、インテリアなど日常で使う身近なものをパッチワークで作る、ということをきっかけに、興味を持って頂けたのだと思います。
――これから取り組んでいきたいことについて教えてください。
丸井さん: 鉄や紙など、布以外のものを取り入れたパッチワークや、インテリアの商材とパッチワークというライフスタイルシーンを開拓していくことを考えています。今は布のみですが、他の素材を組み合わせることで、よりデザインの幅が広がると考えています。
活動を通じて、「パッチワーク」というハンドメイドのすそ野をもっと広げていきたい。皆さんが意識していないだけで、実は生活の中に「パッチワーク」と呼べるもの、つまり何かと何かを「継ぎ合わせたもの」はたくさんあると思うんです。そんな発見をどんどん発信して、パッチワークを通じて笑顔になる人が増えるといいなと思います。
◇ ◇ ◇
丸井さんのお話から、パッチワークのさまざまな展開の可能性を強く感じました。もっと多くの人が気軽に取り組めるハンドメイドにしていきたいというパッチワークライフさんの活動は、ハンドメイドをしたことがない方はもちろんですが、すでにパッチワークをされている方にとっても、新たな発見になるのではないでしょうか。現在は関西を中心に活動していますが、まずはイベントなどの機会に参加してみては?
■第25回 潮風のキルト展 作品募集中! 【応募期間】10月10日まで
高知県幡多郡の海岸沿いの美しい風景そのものを美術館に見立てた「砂浜美術館」で、毎年開催されている「潮風のキルト展」。第25回の審査員は、パッチワークライフさんが務めます。
「布を楽しむ」をテーマにした、パッチワーククッションカバーやタペストリーのご応募お待ちしています。 詳しくはこちらのQRコードを読み取るか、下記のURLをクリックしてください。
潮風のキルト展 URLはこちら↓
http://www.sunabi.com/works-art/25th-shiokaze-quilt_entry/
■Patch-Work-Life教室の生徒さま募集中/体験会も随時行っています。
■関東エリアでPatch-Work-Life の教室講師を行いたい方、ご興味ある方のご連絡お待ちしています!
現在関西中心に教室を行っていますが、今後関東方面でもPWLの教室を広げていきたいと考えています。
少しでも気になる方は、ぜひ下記にご連絡ください。本文に「ホビスタを読んで」と添えていただけますと幸いです。
https://www.patchworklife.jp/contact
お話をうかがった方
Patch-Work-Life
代表, チーフクリエイター
丸井 康司さん
「あなたがパッチワークすれば、世界はもっと楽しくなる」
http://patchworklife.jp
〒665-0871
兵庫県宝塚市中山五月台7丁目1-1203
contact@patchworklife.jp
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