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Special 特集

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夫婦じゃない、姉妹でもない。「兄弟」だからできたこと
~兄弟職人・作家を追う~

長崎・五島列島で、兄弟の感性を活かした、旅の思い出づくりのお手伝いを
~兄弟木工職人・三兄弟工房~

長崎県五島列島のひとつ、奈留島にある、葛島さんご兄弟の『三兄弟工房』。
職人である三兄弟が、作家として活動しはじめたきっかけや、兄弟という関係性がものづくりにプラスとなっている部分についてお話を伺いました。
兄弟木工職人・三兄弟工房

――まずは、ご兄弟のプロフィールと工房の歩み、現在のご活動についてお聞かせください。

われわれ三兄弟は、全員大工です。奈留島に観光で多くの方が訪れるようになり、大工として何か貢献できないかと考えたのが『三兄弟工房』誕生のきっかけでした。ひらめきから生まれたストラップが話題となり、奈留島のお土産として販売することに。そして、島を訪れた方が体験もできるようにと、2012年、現在の工房を立ち上げました。2017年には、長男・義信の長男がUターンで奈留島に戻ってきたため、現在は『三兄弟+1(プラスワン)』として、新しい感性の作品をつくっています。

『三兄弟工房』の皆さん
長男    葛島義信(クズシマ ヨシノブ)さん
次男    葛島広春(クズシマ ヒロハル)さん
三男    葛島信広(クズシマ ノブヒロ)さん
長男の長男 葛島勝幸(クズシマ カツユキ)さん

兄弟木工職人・三兄弟工房

長男・義信さんのご長男、葛島勝幸さんの作品。三兄弟の作品に新たな風を吹かせている。

兄弟木工職人・三兄弟工房

2012年にオープンした工房では、ものづくり体験もできる。

―― 三兄弟工房の代表作品である『でばヒラキ』についてお聞かせください。長男の葛島義信さんが考えられたとのことですが、どのようなきっかけでこの作品が生まれたのでしょうか。

兄弟木工職人・三兄弟工房
島外の子どもたちが奈留島にきて、アジをひらく体験をしていると聞きました。そこにインスピレーションを得て、アジのひらきと包丁のストラップを自分用につくってみました。それを常に持ち歩いていたら、新聞に取り上げられたのです。
その後ストラップは、依頼をうけてつくるようになりました。そして、少しずつ改良を重ねたタイミングで五島市のお土産コンテストに出品したところ、2位に入賞したのです。

入賞後は、新聞やテレビに取り上げていただき、長崎県の依頼で東京でのアイランダー2012(全国の離島が集まり、特産物の販売をする祭典)に参加をする機会を得ました。
兄弟木工職人・三兄弟工房

現在は、ストラップやキーホルダー、コースター、記念メダル盾、印鑑、聖書サイズに折りたためる旅祭壇など、作品の幅も広がり好評を得ています。

―― 本業は大工さんとお聞きしたのですが、兄弟作家をしてやっていこうと思ったきっかけは何だったのですか?

父は一本釣り漁師で、足に障害がありましたが手先が器用でした。竹籠や私たちの遊び道具をつくってくれて、時おり知り合いの家の大工仕事などをしていたのを見ていたせいか、私(長男・義信さん)もものづくりが好きになっていったのです。

両親と4年間の約束で一時は別の仕事についていたものの、大工の夢を諦められず、二十歳前に長崎へ大工修行に出ました。
修行しながら夜間の建築職業訓練校に行き、4年の修業と御礼奉公(修業で親方に認められてから、それまでと変わらず親方の元で仕事をする期間)半年を終えて、地元・奈留島に帰り、個人大工として開業しました。

その後、二級建築士免許をとり設計事務所葛島工務店の看板をかかげ、職人として仕事をしていたところ、私に続いて、次男、三男も大工になったのです。

―― 大工さんだから木工はお得意だったのですね。作品として世に出すきっかけはあったのでしょうか。

ちょうど江上教会が世界遺産の暫定リストにあがり、観光で多くの人が訪れるようになりました。その時は、「奈留のお土産」といえるものがなかったのです。
そして、島のために何かできないか、という思いを兄弟三人とも持っていました。

私たちはカトリック信徒でもあるので、江上教会のストラップをつくり、イベントに参加した人達に差し上げました。これが、作品を世に出すきっかけです。ストラップは、思いのほか皆さんに喜んでいただき、うれしかったですね。
今は奈留港ターミナルの売店で、奈留島の土産品として販売しています。
兄弟木工職人・三兄弟工房兄弟木工職人・三兄弟工房

―― ご夫婦・姉妹の作家さんや職人さんは多いのですが、兄弟経営ならではの「ここが違う」という点があれば教えてください。

お互いの長所短所は、兄弟ですので知り尽くしています。その中で、言いたいことがいえる。また、日頃の大工仕事を活かし、暗黙の了解、阿吽の呼吸でお互いを信頼できることが良い点だと思っています。

―― 将来のビジョンをお聞かせください。

2017年10月28日には、『民宿かどもち』をオープンしました。
ここでは、ほかの宿にお泊りの方でも体験に参加することができ、お客様の好きな時間まで、ゆっくり作品づくりをしてもらうことができます。

工房は、趣味ではじめた土産作りがきっかけでしたが、いまはレーザー加工機を購入したことで作品の幅も広がりました。五島椿の認知度や、観光で島を訪れる方々、イベントなど周りにも恵まれています。
将来はネット販売だけでなく、直接お客様と対話しながら作品づくりがしたいと思っています。
兄弟木工職人・三兄弟工房

―― ありがとうございました。

本業は大工という皆さん。建物からお土産キーホルダーまでと、その作品は多彩でした。奈留島を訪れてくれた方のためにできることをしたい、という思いと、ひと言、ひと言からあふれてくるあたたかさが心に残るインタビューでした。

三兄弟工房
長崎県五島市奈留町浦 三兄弟工房
http://www.kyoudai3.jp/index.html

カテゴリー: クリエイター , 物作り , 雑貨・小物

 

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