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「海から生まれた美術」を意味する「シーボーンアート」をご存知ですか。NPO日本渚の美術協会が普及、推進を目指している、海岸に打ち上げられた漂着物(海からの贈物)を使って作るアート作品のことです。作品作りも楽しみながら、海浜美化活動を行っています。今回は、シーボーンアートの作品や、アートを通じた活動などについて紹介します。会長の本間清さんにお話をうかがいました。
――海から生まれた美術と聞くと、貝殻などを使ったアートなのかなと思っていましたが、室内に飾られている作品は、小さな曇りガラスの破片のようなものを組み合わせているものが多いようです。
――この破片のようなものは何でしょうか。
本間さん: これはシーグラスといって、もともとは海に捨てられたビンやガラス、陶器などが海の波にもまれたり、岩や砂で削れたりして、表面が曇りガラスのようになったものです。砂浜で見つけることができます。海の宝石とも呼ばれており、近年ではアクセサリーの材料などにもよく使われているようです。
――貝殻だけでなくガラスの破片も使っているんですね。これらの作品は、どのように作られたものなのでしょうか。
本間さん: ホームページなどで、海に宝探しに行くイベントを告知しています。企業の方にご協力いただくこともありますが、多い時は200人くらい集まります。1時間くらいかけて海浜をみんなで歩いて、そのあと作品を作ります。
このイベントは、ただシーグラスや漂着物を拾うだけではありません。浜には、たくさんのゴミが打ち上げられています。海からの贈物を探しながら、ゴミも拾う。大勢でやると、1時間でも驚くほど浜がきれいになるんですよ。参加した方は、自分が歩いてきた方を振り返って、あんなに落ちていたゴミがなくなってきれいになっている砂浜に、感激されます。
――「ゴミ拾い」と感じさせない仕組み作りをされているんですね。参加しているのはどのような方たちですか。
本間さん: 親子連れの方が多いですね、何度も参加してくださる方もいます。終わった後は持参したゴミ袋がいっぱいになるほどです。注射器など、医療廃棄物が落ちていることもありますよ。
「ゴミ拾い」という名目では、面倒くさそうだな、といったネガティブな印象を与えてしまいますが、「宝探しに行こうよ!」と呼びかけることで、大人も子どももみんな楽しんで参加してくれます。海をきれいにするのは、一朝一夕ではできません。継続するには、楽しくできることが何よりも大切なのです。
NPO日本渚の美術協会 本間さんのインタビューは、次のページに続きます。
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