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普段なかなか見ることのできない「手芸部」の活動を紹介する新企画。第一回は、聖園(みその)女学院高等学校・中学校 手芸部に取材しました。手芸部と聞くと、先生に作り方を教えてもらいながら、一人一人が作品を作るのをイメージしていましたが、この学校ではもっとクリエイティブな活動が行われていました。
聖園女学院高等学校・中学校は、神奈川県藤沢市にある、中高一貫の女子校です。ここに手芸部があると聞きつけて、今日は部の活動をリポートするべくやって来ました!
「こんにちは!」と明るく笑顔で出迎えてくれたのは、現在部長・副部長を務めている高校2年生の2人です。
聖園女学院の手芸部は、中学生と高校生が一緒に活動しており、部員数は21名(2017年12月時点)。毎年9月に開催される文化祭に向けて、みんなで作品作りに励んでいるそうです。
「まずはこの作品を見てください!」と紹介されたのは、講堂の中にある1枚の絵。レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」(「第23回ホビー大賞(2013年)」特別賞受賞作品)です。
(第23回ホビー大賞・受賞結果 http://hobby.or.jp/pdf/hobbyaward23.pdf)
…と思ったのですが、なんと、絵ではなくクロスステッチで作ったものでした!
高さ62㎝、幅98㎝ほどのサイズのこの作品は、よく見ると微妙に違う色を巧みに使い分けて、明暗を表現しています。使った刺繍糸の数はなんと90色にも上るそうです。原画からの図案化(配色)は、刺しゅう糸メーカーさんに依頼し、クロスステッチは先輩から後輩へと代々引き継がれ、2012年に完成しました。
「この作品は、卒業された先輩たちが作ったものです。構想に3年、制作に10年もかかったと聞いたときは、驚いたと同時に、世代を超えて作られた作品なんだと感慨深かったです。天井部分の、似た色を使い分けるのが難しかったと聞いています」(現部長)
以前の手芸部では、個々の部員が細々と作品を制作することが多く、そうした中、この「最後の晩餐」は「ミッション校でもある我校に残る大作を作りたい!」という部員の思いがきっかけで、複数の部員がかかわることで誕生したそうです。この作品の完成までにかけた時間や苦労に思いをはせることで、「私たちも先輩たちをしのぐ作品を作りたい!」と、現役手芸部員たちの励みになっているそうです。
次に彼女たちが案内してくれたのが、活動場所になっている被服室。近づいていくと、にぎやかな話し声が聞こえますが、その合間に「サクサクサクサク…」というかすかで軽快な音も聞こえてきます。何を作っているんでしょうか。
取り組んでいるのは、「羊毛フェルト」。羊毛フェルトは、着色された綿に専用の針を刺していくことで、糸同士がからんで徐々にまとまっていき、いろいろな形を作れるハンドメイド。立体的な作品が作れるので、スイーツや花、動物など工夫次第で表現の幅が広がります。最後の晩餐が完成する頃、「やってみたい」と声が上がり、始めたそうです。
羊毛フェルトを始めた2007年当初は、羊毛フェルトの本などを教科書に、オーソドックスなモチーフであるドーナツなどのスイーツを個々の部員が作るのにとどまっていました。
しかし、次第に作品が増えていく中で、それらをまとめてディスプレイし、一つの作品にするようになりました。さらに発展して、毎年一つのテーマを設け、それを表現するために個々に何をどのように作るのか、という方向に変わってきたそうです。
聖園(みその)女学院高等学校・中学校 手芸部の紹介は、次のページに続きます。
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