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私たちが日ごろ身に着けている衣服。そのほとんどが、人の手でミシンを使って作られたものです。洋裁をしない人にとっては、ちょっと遠い存在かもしれませんが、イスのシートや車のエアバッグ、靴やバッグなど、実は私たちの身の回りには、ミシンを使って作られているものが数えきれないほどあるのです。
このコーナーでは、そんな近くて遠いミシンの魅力を再発見してお伝えします。今回は、最新ミシンではどんなことができるのかについて、かつてのものと比べながら徹底検証します!
神奈川県藤沢市で創業103年のミシン販売店、藤沢ミシンさんにお話をうかがいました。
所狭しとミシンが並ぶ店内。見慣れないミシンもたくさんあります。
針が10本ある刺繍専用のミシンや、
ウェットスーツ専用のミシン。縫い穴から水が入らないように、生地の表面をすくい上げるようにして縫い合わせます。
こちらは皮革専用のミシン。ブーツなど丈の長いものも縫えるそうです。
縫うものによって、こんなに種類があるんですね!
あれっ、これも……もしかしてミシン!?
これは「足踏みミシン」といいます(非売品)。机とセットになっていて、足元にペダルと車輪のようなものもついています。アイアンと木材の組み合わせがとってもレトロ!
日本にミシンが入ってきたのは大正期に入ってからで、このミシンは、約80年前のモデル。それまで衣服はすべて手縫いでした。ミシンが登場してからは、服を作って収入源にするための、家計を支える大事な道具として重宝されるようになります。当時は、大卒者の初任給3~5カ月分がないと買えないほどの高級品だったそう。今では、服は既製品ですが、昔はひとつひとつがオーダーメイドだったんですね。
せっかくなので私もこのレトロなミシンを使ってみたい! ということで、巾着袋を縫うことにしました。まずは表地を作ります。
イスに腰かけたら糸をセット。針穴に通すのも一苦労……。
糸を通したら、ペダルに足を前後に置きます。
右手で手回しハンドルを手前に回しながら、ペダルを前後に踏むと針が動きます。ハンドルとペダルのタイミングが難しい!生地を抑えるのが左手だけなので、なかなかまっすぐに縫えない……。約5分かけて、やっとの思いで二辺縫えました。
時間はかかったけれど、針が上下するときの「カシャン カシャン」という音が心地いい。下糸が入っている「釜」という部分が、半回転を繰り返す音だそうです。電気を使わずに、手動で操作するからこその味わいですね。
このミシンは、毎日掃除をしたり油をさしたりと、使う前のメンテナンスが必須だそうです。また、手回しハンドルを反対側に回転させてしまうと、すぐに糸が絡まってしまいます。
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