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Special 特集

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“ハンドメイドの匠”に聞く vol.1 「手づくりは心づくし」

“幸染め”の普及を通じて
ハンドメイドの魅力を一人でも多くの人へ

さまざまなジャンルに広がるハンドメイドの世界。ビギナーからベテランまで、楽しみ方も人の数だけ存在します。
そんななかから、オリジナリティあふれる独特のハンドメイドを手がけている“ハンドメイドの匠”に、手づくりへの想いや楽しみ方についてうかがいます。
今回は、「山の幸染め」を手がける隆久さんをご紹介します。

NPO山の幸染め会
株式会社ハピネス

隆久 昌子さん

山の幸染め
「幸染め」は紙状の染料とアイロンを使った新しい染物。その手法を使って葉っぱや蔦などの形を布に写し取るのを「山の幸染め」という。植物のほかにも、文字やイラストなどを染め上げることもできる。
http://www.sachisome.com/

アイロンで鮮やかに染まるペーパータイプの染料は、多様な色のバリエーションがあります

「ちょっとでも良いものを作りたい」という思いが
創意工夫につながっていく

――隆久さんとハンドメイドの関りを教えてください。

私が生まれたのは昭和13年。物心ついたころには太平洋戦争がはじまり、日本は物資不足にあえぐ……そんな時代でした。
だからこそ、ハンドメイドもとい「手づくり」は私たちにとって当然のこと。服やマフラーなど身に着けるものを母親が手づくりするのはもちろん、サイズが合わなくなってくれば仕立て直しをして弟や妹へのおさがりにする。傷みが目立ってくればオムツや雑巾に仕立てるなど、一枚の布を徹底的に活用していました。

また、実家が染物屋を営んでいたことも、私のハンドメイドの原体験の一つかもしれません。生まれが北海道だったこともあり、自分の家で刈った羊の毛を染めてセーターを作る。そんな光景も、日常的なものでした。

――ご自身では、どのように「手づくり」を楽しんでいましたか?

学校では編み物を習う時間が設けられていましたし、子どもにとっても手づくりは実用と楽しみを兼ねた、非常に身近なものでしたね。
おもちゃも手づくりでした。特に印象深いのはお手玉です。あれは、中に入れる素材の種類や量によって触り心地や音が変わります。「次はどんなお手玉をつくろうか」と考えながら工夫を凝らすのは楽しかったですね。
「ちょっとでも良いものを作りたい」という思いは、子どもながらに良い勉強になりました。

染物の魅力を伝える中で広がる人との輪

――現在は、「幸染め」の普及に尽力されていらっしゃいます。

北は北海道、南は沖縄まで、日本は世界に類を見ないほど染色文化が発達した国です。さかのぼれば万葉集の中にも「(着物を)あなたの好みの色の染めたい」という歌があるように「染物」は非常に身近なものでした。
ところが、手法にもよりますが染物は手順が複雑だったり水を大量に使用するなど、なかなか手のかかるものです。
私が考案した「山の幸染め」は、複雑な道具は何も要りません。
手軽に取り組めつつも色味や染めるパターンを無限に持つ「山の幸染め」を普及させることは、日本の伝統的な文化のひとつである「染物」を後世に伝えていくことにもつながると考えています。

――ハンドメイドの魅力については、どのように感じていらっしゃいますか。

ハンドメイドは、趣味そのものとしての楽しさはもちろん、創意工夫を通じて手と脳を刺激するたいへん良い取り組みですよね。私の周りでも、お歳を召してもハンドメイドを活発に楽しんでいる方が大勢いらっしゃいます。
また、私の考えは、「手づくりは心づくし」です。
心を込めて手作りに取り組むと、同じように手づくりに向き合う人と交流が生まれ、輪が広がります。ハンドメイドを通じて尊敬できる仲間に出会い、人と人との人生が重なっていく。
そんな、コミュニティの形成もハンドメイドを通じた楽しみです。

ハンドメイドは女性の自立や活躍に
大きく寄与するのでは

人は、いくつになっても誰かから褒められたり認められたりしたいものですよ。
ハンドメイドは、技術を磨いて人に教えられるようになれば、教室を開催するのも夢ではありません。趣味と実益を兼ねる、家計の助けにすることも可能ですよ(笑)。
最近は「女性活躍推進」が取りざたされていますが、ハンドメイドは女性の自立や活躍に大きく寄与するのではないでしょうか。
他にも、個人的な夢としては福祉における職業訓練や教育面などにおいてもっと幸染めの活動を広げられればと思っていますし。海外の人に面白さを伝えるのも手掛けていきたいですね。
ハンドメイドは、暮らしや人生を豊かにするもの。その喜びを、幸染めの普及を通じて一人でも多くの人に感じていただければと思います。

【取材を終えて】
ハンドメイドを“楽しむためのもの”だけではなく“文化”としてとらえる隆久さん。
「“手づくり”を追求することで、女性の自立にもつながる」という考え方からは、ハンドメイドを通じて誰かを応援したい、という姿勢が垣間見えました。

 

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